田代島のねこにマタタビを与えたかった

宮城県石巻市の田代島はねこで有名な島で前々から行きたかった。

そしてマタタビを与えたかった。

わたしの住むエリアの道の駅ではよくマタタビの枝が売っている。
いつからかいざというときに与えられるようにわたしのカバンの中にはマタタビが常備されていた。
しかし悲しいことに常に移動は自家用車であるため、たまに見るねこも車から降りてカバンをごそごそやっているうちに逃げていくことが多く、だいたいにおいてわたしは逃げさるねこにマタタビの枝を投げつける、そしてさらにねこ逃げるという悪循環を繰り返していた。今書いてて思ったんだけど見る人が見れば虐待だ。
そんなかなしい出来事が続いていたある日の飲み会で近所にねこがいる同僚に「ぜひこれを!」と最後の一袋をあげたのでした。
「なんで持ってるんですか!?」
って言われたけれど、それにはそんな深い理由があるのだ。(うそ。そんなにない。)


しかしまた買ってしまった。
…行かねばなるまい。


石巻発着所まではJR石巻駅からバスがでている。石巻駅からバスで約10分程度。網地島ライン石巻から田代島へ約50分。

12:00発のマーメードに乗船。

2階?席。乗船前のアナウンスがテープなのかなんなのか超早口で何も聞き取れなくてつい笑ってしまう。


1階席。ちょっとレトロな雰囲気。

乗り慣れている感じのおばあちゃんがすでに横になっていた。

切符は乗船してから購入。石巻港から田代島まで片道1200円。


ひさしぶりの船で浮かれまくり動き回る。


田代島でねこに餌づけはしてはいけないと予習していたので何も持ってこなかったが


この手があったー。餌づけー。したかったー。

二人羽織的。


途中から気持ち悪くなりぐっすり寝てしまう。乗り物酔いしやすい体質なんだけどノビタ並みにすぐ眠れるのでどうってことない。




あっという間に到着!ちなみに田代島では大泊と仁斗田の2箇所で降りることができるのだけれど大泊で下船された方は観光っぽい4人グループ。仁斗田は10人くらい?で下船された方もわたしを含め大部分がねこ目当ての観光目的でした。

マーメードのマーメード?萌え〜?なのか。かわいらしい。



港にはとても大きいクレーン船があって、何かおおきいものをどんどん積んでいた。


第一ねこ発見!


さっそくいるいる。


意外と毛の長いのがいる。

勝手にチョビヒゲと命名






ちょいとさわらせてもらう。

立て札。「むやみに」でなければえさを与えてもよかったのか。とこの後とても後悔することに。

ねこに好かれる人…。なぜ…なにがちがう…。
ここまで読んでるとなんとなくわかると思いますがわたしはねこを飼ったことがない。それだからかそれなりに好きなのだけれどあまり好かれない。



とりあえずこの猫神社を目指すことにする。



わっなんかねこだまりがある。


自然発生的ねこだまりではない。
くそうわたしだって「むやみに」でなければ与えてもよかったのに与えるものはなにもねえええ。


そういうこともある。

たとえこうやって走っていく先が自分じゃなくても、まあそれでもいいじゃなない。かわいいし。



こうやってさわらせてくれるねこもいるし。重そう。




またしてもねこだまり…!

そう、ねこじゃらし、という手もあったのに…。






なかなか猫神社につかない。


人工物が見えてほっとする。



小学校、中学校、平成元年閉校。もう26年も前なのか。
この辺から下り坂になってきて、いよいよ猫神社ってあるのかあってもそこにねこなどいるだろうか!いやいない絶対にいないいたらすごい、と思い始めたころ






ありました猫神社。


そしてまさかのねこ…!
なぜここにいるのかとびっくり。ここまで徒歩15分圏内には一匹たりともねこはいなかったし、人間とも出会わなかった。
そう、このときだ、とばかりにマタタビの枝をとりだす。

さあ!マタタビだよ!

…。

…。



…。なでたらサービスしてくださいましたがこれはどう考えてもマタタビの威力ではない。
名残惜しいが帰りの船の時間もあるので帰ることにする。


…ごめんね枝しかない。







「ねこ、撮りにきたの?」
「はい」
「今日は泊まり!?」
「いいえ、もうすぐ帰ります」
「今度暖かいときにまたおいでー」
「どの季節がいいですか?」
「ほら、いまこっこ(子ども)はらんでるから、生まれたとき」
いいですね!そういえばみんなおなかが大きかった。











一瞬しんでるのかなと心配になるけれど、しっかり胸がゆっくり上下していた。安心。





かわいい。



そんなこんなでちょいとお手洗いに。港には軽トラックをかこんで3人ほどいらして
「こんにちはー」
って明るく挨拶してくださる。




「ねこ、いましたかー!?」
「いやーこっちにはいなかったです」
「ここの坂上っていって『チャーハンのおばあちゃん』のとこにいっぱいいるから」
「チャーハンのおばあちゃん?」
「ここ登っていって、三叉路があるんだけどそこのとこの植木鉢いっぱいあるところ」

チャーハンのおばあちゃん?登ってみる。

また会ったね。

たぶん、ここだ。




この辺で煮魚のとてもいいにおいがして、だんだんおなかがすいてきた。
3時の船が最終だったので、さてもう少しで帰ろうと思っていたら

もふもふの白い巨大なねこが走ってきてそのあとを

…あれはマタタビの枝を投げつけるわたし…?

…ちがう!石を投げるおばあちゃんだ。
「あらー石当たらなかった?」
「いやーいい写真撮れました(ひどい)」
「うちの猫にちょっかい出すのよー」
この状況で「うちの猫」、がいるのがすごい。
「ごはん食べた?」
もう少しで帰る旨を伝えると、ちょっと残念そうにしてくださって
「今度は泊まるといいよ」
今度また来ます、とだけ言う。







自然なねこだまり。


…そういえばマタタビを与えたかったのだった。


忘れていた。本日二本目を取り出す。

においをかいで、かいで、おもむろに食べる。


…ごめん、ただの枝で。









ねこの集団とカラスはどこでもペアだった。


「ほら、ねえちゃんそろそろ出港するぞ!」
とバイクに乗った方から声をかけていただく。


もうちょっといたいなあ。

チョビヒゲ(仮名)が移動していた。


帰らなくてはいけない。

ここまで来てくれている。営業活動か。すばらしい。
帰りに、さっき出港だよって声をかけてくださった方が、船に乗ったわたしに
「今度はゆっくりおいで!」
って言ってくれる。
「はい!」
とわたしは返事をする。

あっという間だった。久しぶりに日光を浴びてなんだか眠くてぐっすりと寝た。


ほや。


かき。


この日食べたのじゃないけれど、石巻の寶来寿司さんの海鮮丼。鯨も入ってて、とてつもなくうまい。


また行きたい。また来たいなあ。
残ってしまったマタタビの枝はまたわたしのカバンの中で眠る。


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