犬を救うことの難しさ

片野ゆか著「犬部(INUBU)!」読了。
内容は北里大学獣医学部に発足した犬部の活動顛末です。保護した犬や猫やうさぎをリハビリしつつ家族を探す活動をするサークル活動とそれを立ち上げたり維持したり組織としての変化などが内容でした。おもしろく読ませてもらって自分も犬を飼っているので考えたことがありました。特に思ったのが、わたしの犬は不幸なのではないか、ということでした。

わたしは犬を飼っています。とても田舎の一軒家に住んでいます。田舎とはいいつつも夜になって犬が脱走してしまったら誰かが家に連れてきてくれるようなそんな田舎に住んでいます。わたしの犬は家の外で飼われています。わたしの犬は車が3台入る車庫の一番右側にすんでおり、以前は車と一緒にそこに住んでいましたが車のドアを開けるすべを知ってしまったので1台分のスペースが彼女の家になります。車のドアは開けてもいいんだけど中でじっくりくつろいでいてドアは開けたら開けっ放しであるので(あたりまえだ)室内灯つけっぱなし→バッテリーが上がる、を何度か繰り返しました。車に鍵をかけるとドアノブを取ってしまい修理代が2万ほどかかりました。毎日散歩は夜に30分、それ以外にも行きたがるときには畑に連れて行ったり土手に連れて行ったり等、雨が降っている日以外はあちこちに連れて行きます。
しかし彼女は家の中では飼われていません。

この家の中で飼うことは田舎においては結構ハードルが高いんじゃないのかなと思うんです。たくさん家の中で飼われている犬はいます。ベストは家の中で家族同様でも人間とは違うことをしっかりしつけつつ一員として暮らし、なおかつ犬族として散歩をたくさんしてもらうこと、遊んでもらうことが一番なのでしょう。でもうちではそれはできません。日中家には家族はあまりおらずしかし近所の人々は結構気軽に出入りする状況です。家の中でつながれずに生活はさせられませんでした。わたしは彼女はとても幸福なのだと思っています。わたしは彼女と一緒に12年生活してきてとても幸福だからです。

この本の中に出てくる犬部の方々は保護した犬と人間の信頼回復のために、身を挺して一緒に家の中で暮らしています。室内を土足で何匹も一緒に暮らしたため、修繕費で50万請求されたエピソードなどが出てきます。それはとても素晴らしいことです。でも同じことは自分にはできないと思いました。別にこの本の中に屋外で飼われる犬はかわいそう、なんていう記述があったわけではないです。犬部の方々は自分が大切に面倒見た犬をよい環境に譲渡したいのです。その気持ちはとてもわかります。しかしなんかハードル高いなあと思っちゃったんです。命を飼うことだから安易であってはいけないことはとってもよくわかります。でもハードルの高さは果たして誰を幸福にするんでしょうか。盲導犬の子どもを預かるのであれば、必ず室内でいつも家に人がいるような家庭で暮らさなくてはいけないことは当たり前です。しかし普通の犬も?

こんなにもやもやするのは先ほど書いたようにわたしはわたしの犬が幸福なのだと思っているけれども、それに自信がないからなんだろうなあ。