南三陸町/仙台/女川

雪が多くて大荒れになるという話だったのでともかく太平洋側に行きたかった。
この時期わたしの住んでいる場所の空はいつもねずみ色で大きなたくさん水分を含んだ重い雪が降り続く。
ともかく青い空を見たかった。


南三陸町は初めて行った。
車で3時間。
近いのに、震災が無かったらきっと一生行かなかった。
以前のここが、どんな町だったのかわたしは知らない。
ただ、半分水没している平地が続いていて、風がとても冷たくて、そして青空だった。



次の日は女川に行った。
女川おさかな市場の住所をカーナビに入力して行くと道中看板があり真新しいその建物があった。
ナビゲーションとは違う場所でカキを食べた。
前の場所は?とお店の方に尋ねると使えなくなって、と教えてくれた。
そこの湾はほとんど被害がなく、1年物のカキが残った。
ずいぶん海が近い、と言うとそれは前からだ、とにこりと笑われた。

以前の場所にどうしても行きたくなってしまい、カーナビの言うとおりにもとの「おさかな市場」がある場所に行った。


半分水に浸かっていた。
この丸いものが何かはわからない。
以前のここを知らない。

すぐ近くにもお店があって、そこで海鮮丼を食べた。

なんだかおそろしくおいしかった。
なんかああわたしはこうやって消費しているんだなあと自分の卑しさや醜さを思った。
がつがつ食べた。


興味本位で行く場所じゃないとは思うけれど、一回どうしても見たかった。
その場所に立ってみたかった。
立ってみて、何もかも、なんて怖くてなんて醜くてなんて力強くてなんてたくましいんだろうと思った。
浅ましいちっぽけな自分も消えてしまうくらい。